暗い話になんてするつもりはないから、
先に言った10分の1の穴埋めをするとしよう。
正直書くのは、恐い。


かかしが単独で活動し始めてから、いや正確に言うと
自分のレーベルを立ち上げ、信頼できる若輩を連れて再発してから、
生活はかなり変わったと思う。

他アーティストへの作曲、リミックスや番組構成の編曲、効果。
これらは何の憚りもなく出来るようになったし、
勿論 かかし自身の創作は飛躍的に独自性を放ち出して、
特徴的なそのミニマリズムはバリエーションが無限大だからこそ
体現し続けることが出来る賜物だ、と皆が自然と思うようになった。
(ただ、彼自身が出来ると確信を持っていて作業が進まない時の
苦しさを良く知ってるから軽はずみに持ち上げるつもりはないんだけど・・)


未だに音楽全般あまり詳しくない私は、以前からテクノ(やハウス)、
ヒップホップ(またR&B)、クラシックを三種の神器としていた。
了見の狭い私に、かかしの感性が雷を落としたのは確かで、
アンビエントなHHでラップ? アグレッシブなクラシック?

実現不可能に見えるそれが
彼には出来るのである。

本当言うとピコピコと機材に打ち込んでいる姿とか、
キーボードを睨んでる所などは滅多に見たことがない。
それは一般的な恋人関係と同じで、
ビジネス部分には介入できないから。
逆に、髪をひっ詰めて眼鏡姿で
卓上ライト下で原稿をチェックしている姿など
私も見られたくないものだ。

それでも自作音源は、ユビキタスに入っているし
自宅で流れる事も多々ある。
断片的なビーツだったり、パーカッションだったり・・
ベッドに寝転がるとまるでミュージアムみたいに
音に包まれていた。

初冬に公園で会った時は
まだ全然彼について知らなかった。
また彼も若かった。だけど、
変わらない世界観が今も変わらず全音に棲んでいる。

huvcoolを休止して、おそらく初めてに近い一人の戦い、
周りを慕ってくる後輩やスタッフに囲まれ、
かかしはすごく肩肘を張っていた。
張らずにはここまで来れなかった。

無理もしていた。体も壊した。
プライベートなんてないのが
ざらだった。
それでも、傍に居る事を、
想って待っている事を
私は許されていた。


huvcool時代を未だに好きな人は沢山居ると思う。
だけどもし後悔はありませんか?と誰かが
質問するなら間違いなくyesと応えるのだろう。

huvcoolの存在の良し悪しではなくて、
過去に囚われない性格、
囚われないように生きて居るからこそ…


そう言うと自分は過去だと、自分で言ってるようで正直に辛い。


それから変わった事と言えば
かかしの後輩の中に
女性(というより女の子)が加わったことだ。
当然今までもスタッフやコーラス、デザイナー、メイクと
常に女性には囲まれて居たかかしだけど、
声楽として仲間に加わったのは彼女が初めてだ。 

私自身もその彼女、パウダー(本名が雪)に好意を持っていて、
明るく朗らかで北国生まれ(それも名前の由来)の純朴さが
皆の心を和ませることが多々あった。
また空とも楽曲上絡みが多く、仲良しで(普段は白狐でもよく笑う)、
スケジュールを抜って皆で出かけた事も多々あった。

かかしも、上京したてで
緊張しきりだった彼女には、優しく、
どんな曲を振れば、ステージングすれば一番映えるか
研究する日々で、そうやってプロデューサーとしても
成長していくかかしが、とても好きだった。



本当に、側でずっと見ていたかった。




私の現在のデスクには
黄色いポストカードが飾ってある

「元気でね! ユキ-」
と、元気な字で書かれてある下には、
グラフィティを模したパウダーと空のサイン
それと可愛らしい雪ダルマのイラスト。


今日は
職場の一面
ガラス張りの壁?から
斜め前方に見える
晴れ渡ったエリー湖を、
胸を痛みながらずっと眺めていた。




 










つづく

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