今年もまた師走がやってくる。

毎年同じような町の風景、
だけど年々派手なイルミになって
アメリカナイズドされていく家並み。
2大テーマパークのツリーは
変わらず綺麗で、男女問わず
クリスマスに心躍らされている。

12月24日。
ただでさえ特別な日が、
あの年から私の一番大切な日になった。

初めて会ってから
それはもう4回目を迎えるのだけど、
その内一緒に居られたのは2度。

1回目は私は静花と居たし、
彼も別の誰かと居ただろう。

2回目は、23日から日付変更線を越えて、
真っ暗な廊下に蛍光灯で照らされた貴方と二人きり。
今思い出しても、胸が熱く揺さぶられる。

3回目は去年。
hucoolが
活動を休止する直前。

どんな団体でもいつかは誰かが抜けたり、
稀に亡くなったり、ベクトルが合わなくなったり
そうゆう事がある。
頭では納得していても私は
思い出の分だけ腑に落ちなかった。
でも、その事に関して
かかしに意見する事はなかった。できなかった。
エンジや数の決めたことでもあるから。

詳しく追々話すことになるだろうけど、
今は私自身に時間がない。

出版社に勤めて1年半経った頃から、
(拙い文章しか打てない私だけれど)
自社雑誌で取材記事を任されるようになった。
最初は1/24スケールだったものが
2年目に入る位に倍以上のスペースを戴いていた。

忙しいけれど、嬉しい悲鳴が出る。
いつも暇がなくて、他人の製作も
手がけている様なかかしに
少しでも近づけるような気がするから。

ただ、悲しいのは拘束されて
かかしのライブを見に行けない事。
特に来阪してくる時でさえ、私の体は
明け方まで社屋から出られない。
年末ご多分に漏れず忙しい業界性だ。

私はこんな感じであまり以前と
変わらない生活を送っているけれど、
かかしは、常に変わり続ける宿命を
背負っているかのように
先に言ったhuvcoolの休止の前後から
体調を崩したり、その中で
息つく間もなくソロ活動を始めたり、
新たなファン層を作る為
自らをコマーシャルして、衣装やイメージを一新、
アルマーニのスーツが似合う程に髪も黒くしたり、
もちろん、ストックしてあった楽曲にリリックを付けたり、
もちろん、単体で音楽番組に出たり、CMに出たり、
お昼の日本で最もフェイマスかも知れないバラエティに出たり、
めまぐるしく毎日が過ぎて今日に至る。

だけど変わらない所もある。
音楽性。それは全く変わっていない。

まるで親鳥が、雛に餌を租借して与えるように、
輸入音楽のミクスチャーを丁寧に、
分かりやすく且つフレッシュに変換して世に送り出す。
そこに洋楽を聴かないローティーンまでが魅了される
不思議さ、かかしが持つ才能だと思う。

聴衆はモーツァルトを天才と呼ぶ事を禁じがたいけれど、
陰で努力しても失敗しても、天才は存在すると
かかしに出会ったから今は思える。

私は、ただ一人に向かってメッセージを送る。

貴方が呼応してくれた数々の優しさに対して、ありがとう。

いつ、会えるのか見当もつかない。お互いに
忙しく、住む場所も違う。日本という島国は
こんなに小さいのに、この距離ではすれ違う事すら出来ない。


今年は特に念願の「空」との活動を再開して、
更に来年は忙しくなるに違いない。
空はかかしを良く理解出来る一番の友達でもある。
私にはとても割って入れない。それがかえって安息感がある。
どこかまだプレッシャーから
逃げている所があるのかも知れない。

ふと思う事がある。
もし、あの日あの公園をかかしが通りがからなかったら、
かかしが私を見つけて敷地に入ってこなかったら、
ずっと私だけがかかしの存在を知っていて、
かかしは私に気付かなかったんだろうって。

それでも私はずっと好きでいたに違いない。
何があっても、年老いても、かかしが
他の誰かを好きになって、誓いを立てたとしても
きっと好きで、見つめ続けるに違いない。

これは、私がまだちっぽけな生涯しか生きてない故の
浅い考えかも知れないけれど。


星を見上げれば思い出す。手は届かなくても
人間はそこに辿り着けた。決して不可能ではない。

いつも思っている。お酒は程ほどに、食事はバランス良く。
いつも想っている。会いたい。声が聴きたい。貴方を休ませたい。








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