ぼぉーーー。 山手線18番のホーム、 フェンスの向こうを通っていく 車の屋根、数えてるワタシ 深夜3時までゲームした日は実に眠い。 しかも今日は部活だから、リュックが重い。 こうして数十人の人の間に入って 並んで立ってるのも、正直ものすごくだるいんだ。 遠くから線路に沿って来る電車が見える。 どうせ、いつもみたく混んでる。 見なくても分かる。 だけど、電車が近付くと鼓動が早まる (期待・・感?) 今日も乗っていますように! ホームに電車がころがり込む。 つり革にぶら下がって動く気配のない人塊 独特のブレーキ音と無機質なアナウンス 見るだけで吐き気がするこの光景の前で ワタシだけが瞳を輝かせている。 じっくり時間をかけて開くドア、 一番に飛び込むワタシ。 足の置き場もないくらいのいつもどおりの超満員。 こんな朝からどこ行く、って言いたい。 それでも反対側の入り口まで無理やり移動する。 顔が熱っい!! 密度のせいもあるけど、 自分の大胆な行動に一人照れてるせい・・ 入り口側の座席、 そこに見えてくる目深にかぶった帽子。 (当たり!!) 顔がにやけてしょうがない。アハ 二人用シート席にうつむいて、腕組みして寝ている。 もしかして、 しなくても、かがんで顔を覗きこんでも起きないくらい熟睡中。 キャップから肩にかけて ゆるやかなウェーブを帯びた髪の毛が垂れている (うー、やばい。) その時電車が走り出した。 そして規則的な音を立ててくれる。 眠気が戻ってきそう。 それは目の前の気持ちよさそうな寝顔のせいでもある。 この時ばかりとじっと見つめる。 顔をしかめるでもなく、かと言って 口を開けてよだれを垂らすわけでもなく、 本当に気持ちよさそうだ。 ちょっと笑顔入ってるかも知れない 1週間に一度 この日曜の朝にしか会えない 「正体不詳」のヒト。 初めて見たのは1ヶ月くらい前の この電車、この車両、そしてこの座席。 特等席ともいえるこの場所を 確保するにはかなり最初の方で乗っているみたい 部活してて本当に良かった。 でなきゃ一生会うことなかったと思う。 このヒトってば、いつも寝てる。 今まで3回見たけど毎回。 この満員状態を堪能したくなきゃ それが一番の方法なんだけどね。 あ、上向いた! 目開けるかな。 ・・・開けなかった。 腕組みしたまま、ちょっと痛そうな表情で 首を鳴らすように曲げた 肩凝ってるのかなぁ? ワタシよりだいぶ年上には見えるけど スマップよりは若い感じする。 ん?比べるものがおかしい? 次の停車駅で、停まる時 大きく揺れた。 ちょうど頭が左右に揺れたので、肩凝りマシになったかも。 そしたら顔を上向きにしたまま キャップの先を横に回した。 ・・・・あれ〜? 目つぶってるけど起きてんのかな?? まつ毛が長いから閉じてるように見えるけど、 実は薄目開けて周りを見てたりして。 それは嫌だなぁ〜! こんなにまじまじ見ちゃってるからワタシ。 ちょっと恥ずかしくなって 目線を座席の隣のヒトにずらした。 うわあ、気付かなかったけど 普通のサラリーマンぽい。 でも若そうかな、リクルートって感じで。 スーツも新品だ。 日曜出勤だね。ご苦労さん あ、つい微笑んでしまった。 いらん愛想を振りまいてバカみたい!恥ずかしい・・ 再び目標に焦点を戻すと 今度は腕を上着のスソから中にしまい込んで 手先をもぞもぞさせているのを発見。 顔を見ると、やっぱり寝ているようで 夢見ているのか、 口の片端があがって笑顔になっちゃってる ・・・やらしいなぁ何か。その手の動きと顔つき・・。 どんな夢見てるのか知りたい!知りたい! しかし、隣のリーマンと比べるまでもなく このヒトってば絶対会社勤めじゃないよね。 だって、ラフなキャップに パラシュートのビンテージ、上着はアディダスか何か 分かんないけど・・・高そうなベルベットぽいジップアップ。 何で日曜に、こんな朝早く その格好で、毎週どこ行くんだろう? とにかく何でもいい。 ワタシにとっては地獄だった週末が 朝の14分間、極上のシアワセに変わったんだから。 瞳開けた所、見た事ないけど 絶対、素晴らしくキレイに違いない。 これ絶対。 だって眉毛だってこんなに凛々しいし、 (でも太くないし濃くないし) 鼻はすらっと。ううん、線の太い感じですらっと。高い。 唇なんてもう、色が白いから余計か いちごみたいに赤くて、それで薄くて・・・にやけてる。今はね。 いつも色んな帽子被ってて お洒落さん。 そのおかげで髪型の全貌が分からないけど 後ろでくくってたり、そのままだったり まっすぐだったり、ウェービィだったり、面白い。 ああ、もう12分経過・・・。 あと一駅かぁ〜 早すぎ!! 彼が起きない限り、ずっと見つめてたいのに。 いつも思うんだけど これだけ熟睡してて起きれるのかなぁ? どこまで行くのか知らないけど。 心配。リーマンさん、起こしてあげてね。なんてね。ペコリ だんだん速度が落ちて、ガタっ、ガタっ、と数回揺れる。 目前にワタシの終着駅。 (また来週も会えるかな。会えなかったら一週間暗いよ。) そう思いながら 最後の残像を、しっかり目に焼きつける。 やっぱり瞳は開かない。 ま、いっか! 目が合ったりしたら心臓壊れちゃうかも・・。 2駅経由の一方的ランデブー、 今日も無事終了〜。 →サイド サラリーマン 23歳 2月7日 トップ